伝説の名車トヨタ2000GTを完全再現。レプリカやオマージュなんてもんじゃない。ROCKY3000GTは令和に蘇った「令和版トヨタ2000GT」だった!

TEXT:大月 蛍

日本の名車といえば、60~70年代の日産「ハコスカ」や「ケンメリ」、または90年代の「R32 GT-R」などを挙げる人が多いだろう。しかし、これらの大衆車を超越し、圧倒的な魅力を誇る1台が存在する。それがトヨタ2000GTだ。

1967年に生産が開始されたトヨタ2000GTは、流れるようなボディラインで日本車デザインの常識を覆した。当時はジャガーEタイプに似ているとの声もあったが、その優美なデザインは独自の輝きを放ち、海外からも注目を集めた。実際、映画『007は二度死ぬ』(1967年公開)でジェームズ・ボンドが劇中に乗る“ボンドカー”として採用されたことが、その象徴と言えるだろう。

エクステリアだけでなく、内装にもこだわりが満載だ。エンジン開発を担当したヤマハの木工技術が活かされ、ローズウッドなど高級木材を使用したハンドメイドのインストルメントパネルは、まさに豪華絢爛そのものだった。

ただし、その価格は当時の庶民には手の届かないものだった。発売価格238万円は、平均月収が3万6200円だった時代ではまさに高嶺の花。結果、販売台数はわずか337台にとどまり、その希少性は今もなお伝説を生んでいる。現存台数は少ないが、海外にも熱狂的なファンが多く、サザビーズなどのオークションに出品されると1億円近い価格で落札されることもある。

そんな伝説のトヨタ2000GTを完全再現したクルマが存在する。それが、愛知県岡崎市のカーショップ「ロッキーオート」が手掛けたROCKY3000GTだ。

現代に蘇る2000GT、その名はROCKY3000GT

「令和に蘇ったトヨタ2000GT」というコンセプトのもと、ROCKY3000GTは外観の再現だけでなく、走行性能や快適性を現代車と同等に引き上げた究極の1台だ。

トヨタ2000GTの特徴であるディテールの数々も、忠実に再現されている。その理由は、ROCKY3000GTの監修を担当したのが、元チーム・トヨタのキャプテン細谷四方洋氏である点にある。細谷氏はトヨタ2000GTのデザインを手掛けた野崎喩氏のアシスタントでもあり、その経験が活かされ、細部にわたって徹底的な監修が行われたという。

ただし、ROCKY3000GTには決定的な違いがある。それはトレッド幅だ。正面から比較すると、ROCKY3000GTの方がワイドになっている。これは高速道路での安定走行を実現するため、細谷氏の提案で改良されたものだ。

エンジンにはトヨタ製の2JZエンジンを搭載。直列6気筒・3000ccのこのエンジンは、力強く上質なフィールと分厚いトルク特性が魅力で、低回転を活かしたゆったりとしたクルージングに最適だ。

さらに、ROCKY3000GTには当時にはなかった快適装備が搭載されている。オートエアコン、パワーステアリング、ETC、ナビ、カーオーディオなど、現代のドライバーが求める機能が揃っている点が、単なるレストア車と一線を画すポイントだ。ROCKY3000GTは単なる旧車のカスタムではなく、まさに「現代版トヨタ2000GT」と言える。

50台限定モデルと進化した後継車

ROCKY3000GTは50台限定でリリースされ、すでに全車完売。現在では、中古市場でしか手に入れることはできない。しかし、2024年には新たなモデルROCKY2000GTが発表された。このモデルは、欧州車のエンジンや足回りを搭載し、よりスポーティな性能を実現している。外観の完成度はROCKY3000GTと同等で、内装はさらにモダンで使い勝手の良いスタイルにリファインされた。

ROCKY3000GTのDNAを受け継ぐROCKY2000GT――次回は、この新たなモデルについて詳しく解説したい。

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