いじって良し、走らせて良し! 旧車入門にもおすすめのサニートラック。バカ高旧車を買って乗らずに鑑賞するのもいいけれど、乗って楽しむならサニトラ一択

TEXT:小平一平

かつては国産旧車は100万円もあれば選び放題でした。もちろんハコスカGT-Rなどの人気車種を除けば、ですが。

15年以上も前の話ですけど、筆者の近所にあった旧車専門店では510ブルーバードの4ドアがナント68万円というプライス! 今の価値から考えればホント激安です。

カローラレビン/スプリンタートレノ(AE86)用の車高調でローダウンされた足回り、そしてサファリブラウンのカラーリング。見た目も最高でしたが、「68万円でブルーバードを買うなら、もう少し貯金して32GT-Rもありかな…」などと悩んでいる間に、そのブルーバードはソールドアウト。今でも「あの時に買っておけば…」と後悔しきり。

その後、旧車の価格は急上昇したのはご存じの通り。

この高騰化はコロナ禍が原因とよく言われますが、筆者の印象ではそれ以前から旧車の値段は右肩上がりでした。昔も200~300万円のレンジだったハコスカ(2ドアハードトップ)やケンメリは、いつの間にか高級ヴィンテージカーの仲間入り。そして、何より驚いたのはサニートラック(サニトラ)ですら100万円超えが当たり前に!

サニトラなんて昔は二束三文。農家の庭先で放置されていたサニトラを、ビール6本セットで譲ってもらう…そんな扱いだったのです。

このように昔の感覚では、サニトラに数十万円も出して買うなんて「ありえない」こと。それが今や、サニトラも三桁万円の取引が珍しくなく、状態が悪くても数十万円後半です。昔から知っている人なら、きっとこうつぶやくでしょう。

お前も偉くなったもんだな…

それでも、旧車市場全体で見ればサニトラは比較的手に入れやすい価格帯です。サニトラのメリットってたくさんあって、例えば純正パーツが今でも入手可能なこと。そして一時期よりは減りましたが、今でもアフターパーツが豊富。またシンプルな構造のため、街の整備工場でも整備を断られにくいのは大きなポイント。

そして何よりサニトラは軽い! 車重はわずか710kg。FR駆動で2シーターの軽量ボディ。サニトラは「日本版ロータスヨーロッパ」と言っても大げさではないでしょう! …これ、結構本気でそう思っています。

サニトラって本当に運転していて楽しいんですよ。OHVエンジンでありながらビュンビュンと回るA12型エンジン(1200cc)、キャブレターならではのダイレクトなレスポンス。そして、少し手を入れるだけで性格は激変し、商用車からレーシーな一台に変身するのも魅力です。

筆者はキャブレターをソレックスに変更し、マニホールドとマフラーも社外品に、さらに5速化して走行を楽しんでいました。これで峠を走ると最ッッッ高に気持ちいいんですよ!

また、サニトラの強みは商業車ならではのタフさ。筆者のサニトラは10万キロ以上走行し、峠でスポーツ走行も楽しんでいましたが、大きな故障は一度もありませんでした。だから、「お金はないけど旧車を楽しみたい」という人には、いつもサニトラをおすすめしています。軽量車の楽しさをきっと感じてもらえるはず。筆者も、サニトラに乗ってから、クルマを選ぶ際には「パワーより軽さ」を主眼に置くようになりましたね。

唯一のデメリットは車内の狭さと収納スペースの少なさ。これはもう乗った人は誰でも思う最大のデメリット。この点が気にならない方にとって、サニトラは最高の一台になるでしょう。例え購入した後に「なんか違うな…」と思っても、今の旧車ブームなら売却時の金額も期待できるため、損はしないはずです。

筆者がサニトラを手放して数年経ちましたが、今でも「売らなければ良かったな」と思っています。そんな風に感じるクルマなんて、なかなかありませんよ!

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