旧車ブーム終了のお知らせ。東京オートサロンで旧車の展示が少なくてビックリ。ハコスカ、ケンメリ、いったいドコいった!? 2025年の最新旧車事情を考察する

TEXT:小平一平

今年の東京オートサロンも、あっという間に大盛況のうちに幕を下ろしましたね。会場をぐるっと回りながら展示されていたクルマを見ていたら、ひとつ気づいたことがあったんです。それは、旧車が驚くほど減っていたこと。

とはいえ、90年代のスポーツカーやスポーティなモデルは多少見かけたんですが、ハコスカやケンメリ、S30型フェアレディZみたいな、いわゆる1970年前後の国産旧車は本当に数が少なくて。2年ほど前から、あるレストア専門店の方が「旧車ブーム(バブル)は終わったのかもしれない」って話してたのを思い出し、いよいよそれが現実になったのかな…なんて感じました。

旧車ブームの終焉を加速させた高騰する価格

原因としてまず挙げられるのが、旧車価格の高騰。コロナ禍で使い道のなくなった富裕層の資金が、ギターや時計、洋服、バイク、クルマなど、多くのヴィンテージアイテムに流れ込みました。結果として、ここ数年でヴィンテージ市場の相場が一気に跳ね上がったていうわけです。

クルマでいうと、ハコスカやケンメリ、Zといった人気車種はもちろん、以前はお手頃だったモデルまでもが軒並み高騰。サニートラックなんかは、遊び感覚で買える旧車の代表格だったのに、これまたコロナ前の倍以上の値段になってしまいました。ハコスカのフロントマスクをサニトラに移植した、通称“ハコトラ”が一時期500万円で中古車検索サイトに載っていたなんてことも。

もともと趣味性の高い旧車が高級車並みの価格になれば、新しいユーザーが入りづらくなるのは当然のこと。こうなるとブームのすそ野が広がらず、どうしても先細りしやすくなってしまい、やがて消滅していってしまうんです。これってあらゆるジャンルに共通する、ブームが消滅してしまう最大の理由なんです。

アメリカの「25年ルール」がもたらした海外流出

さらに価格高騰の一因として、ご存じアメリカの「25年ルール」がありました。製造から25年以上経ったクルマは、現地の安全基準を満たしていなくても輸入がOKになるので、日本の旧車が一気に注目されました。特にR32型スカイラインGT-Rみたいな日本製スポーツカーは大人気で、海外にどんどん流出していったんですよね。

そんな中、最近はちょっと朗報もあります。アメリカの中古車市場の動きを示す「マンハイム指数」が、2022年1月の257.5から同年12月には219.3まで下落し、約14.9%のダウン。一方で、中古車販売大手の「カーバナ(Carvana)」が2022年末に株価を99%も落としたという驚きのニュースも。パンデミック中に急成長した企業が、需要減&供給過多のあおりを受けてしまったみたいです。

この流れでスープラやスカイラインみたいな北米人気の高いモデルでも、「高くても売れる」という時代は終わりつつある様子。そのおかげで、海外流出がある程度抑えられて国内相場も少し落ち着いてきたようです。

90年代スポーツカーの依然強い需要と今後の展望

とはいえ、低走行のR34型GT-Rなんかは今でもスーパーカー並みの強気価格。これから先、こうしたモデルが高値安定のまま行くのか、それとももうちょい下がるのかは不透明です。ただ、「旧車バブル崩壊で叩き売り!」みたいなことが起きるかと言われると、正直そこはあまり期待できないかも。

旧車ファンにとっては複雑ですが、もし購入しやすい価格帯に落ち着いてくれれば、新しいファンが増えて盛り上がるチャンスにもなる。実際、ハコスカなんて中古車検索サイトのCAR GOOを見ると、以前とはうってかわって、出品台数が大幅に増えてきています。…まあ、それだけ何らかの理由で手放してしまう人が多くいるってことですが。

逆に90年代スポーツカーはまだまだ強気。やはり90年代スポーツカーは北米だけじゃなく、アジアでも絶大な人気があるのもその理由でしょう。

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