TEXT:アウトラン編集部
いまや90年代のクルマだって発売からすでに30年以上も経過していることに驚きを隠せないアラフィフの筆者です。この時代のクルマならまだまだ現役でいけるっしょ! …なんて思っていましたが、すでにクラシックカーに片足突っ込んでいる状態のようですね。いやはやスミマセン。
そんな人に神の福音ごとく朗報だったのが、日産とNISMOが2017年にスタートした「NISMOヘリテージパーツ」プロジェクト。ナント製造が終了した純正部品を復刻・販売する取り組みで、R32スカイラインGT-Rをはじめとする名車の長寿命化を目的に、現在では300点以上もの部品が提供されているのだ。
今回はこのプロジェクトの魅力と素晴らしさを、もう一度振り返ってみたいと思います。
…と、その前にR32型スカイラインGT-Rを少しだけ紹介しておきましょう。1989年に登場したR32スカイラインGT-Rは、「RB26DETT」という直列6気筒エンジンを搭載し、日産独自の4WDシステム「アテーサE-TS」や、高性能の四輪ステアリング「スーパーHICAS」など当時の最先端技術を詰め込んだ一台。JTC(全日本ツーリングカー選手権 )に参戦し、1990年から1993年の4シーズンにわたって負け知らずの29連勝という大記録を打ち立てたモンスターマシンであり、 マンガやゲームで妙に神格化されることが多いR32GT-Rですが、それにはちゃんと理由があったのです。
NISMOヘリテージパーツとは?
たとえば、エンジン部品や内外装のパーツ、さらにはレストア時に重要な電装部品など、幅広いラインナップを揃えているので、パーツの欠品のため修理や整備が不可能になる、なんていくことがなくR32を「現役で走れる状態」にすることが可能になった。
そしてなによりこのプロジェクトが優れている理由は、単なるコピーではなく、現代技術を活用して「より高品質な復刻」を目指している点です。
対向式ダイレス成形技術
金型を使用せずに少量生産を可能にする技術で、リアパネルなどの複雑な形状の部品も再現可能に。これにより、コストを抑えつつ高品質を実現しています。
3Dプリンター
樹脂製部品の製造に3Dプリンターを活用。たとえば、配線を保護するハーネスプロテクターのような部品も、必要に応じて柔軟に製造できます。
小さな部品も見逃さない!
ピボットホルダーのような小さなパーツが意外と重要なのです。こうした「小物パーツ」にも注力しているのが、このプロジェクトの素晴らしいところ。大物パーツって、中古などで意外と出てくるものなんですが、小さいパーツになるとほぼ探し出すのは不可能だったりするんです。
NISMOヘリテージパーツプロジェクトは、単なる部品販売を超え、日産の歴史や文化を未来に継承する大切な取り組み。R32、R33、そしてR34といったスカイラインGT‐RTシリーズだけでなく、幅広い車種のパーツ復刻を期待したい。これは旧車ファン全体にとっても注目のプロジェクトと言えるはず。今後の展開にもぜひ期待しましょう!
LINK
NISMOヘリテージパーツ https://www.nismo.co.jp/heritage_parts/