TEXT:響 公平
2025年1月23日、ホンダの「CB1000 HORNET」と、その豪華装備をまとった限定モデル「CB1000 HORNET SP」がついに発売されました!
この新型ホーネットは、2023年にイタリアのミラノで開かれた世界最大級のモーターサイクルショー“EICMA(エイクマ)”で初公開。Honda Motorcycle EuropeのYouTubeチャンネルでもスペック情報や映像が紹介され、多くのファンから期待を寄せられた一台です。
ところが、2024年6月頃にホンダが「販売延期」を突然アナウンス。公式のコメントは曖昧でしたが、ネット上では「ハンドルスイッチボックスの供給不足」が原因だというウワサが飛び交いました。その後、続報がほとんどないまま月日が流れ、「発売中止?」なんて憶測まで出たCB1000ホーネット。しかしようやく、2025年1月23日に満を持して一般発売が始まったのです。

“伝統のホーネット”が目指した究極のストリートファイター
そもそもホンダにとって“ホーネット”の名は伝統的なブランド。その新型は、CBR1000RR由来の水冷直列4気筒エンジンを採用し、最新電子制御システムもバッチリ搭載。さらにアップハンドルを組み合わせたストリートファイター風のスタイリングと、豪華パーツを纏ったSPモデルの投入で、なんだかんだ言って「発売後はすぐに品薄になるだろう」という予測でした。
…が、いざフタを開けてみると、その読みは大ハズレ。ホンダドリーム店の“新車在庫検索システム”を見る限り、全国的に在庫がゴロゴロ。発売直後ならちょっとくらいは品薄感があってもおかしくないところですが、メディア露出の多さに比べて市場の盛り上がりは今ひとつ。これは、同じくホンダがリリースして苦戦した“ホーク11”を思い出しちゃうのは筆者だけではないハズ。

「どこかZ1000に近い?」デザインの既視感も評価を分ける要因?
実際、CB1000ホーネットもホーク11と同様に、発売開始時点で微妙な空気感が漂っています。スタイリングが「カワサキのZ1000に似ている」と言われつつも、各メディアはなぜかあまり深く触れません。メーカー広報との関係や広告出稿の事情もあるのか、“みんなわかってるけどスルー”という雰囲気。ネット上でも「見た目ほど乗り味は荒々しくなく扱いやすい」「コスパが良い」という表面的な評価が多く、バイク系インフルエンサーさんたちもそんな奥歯に物が挟まったような言い方がばかり。
では、CB1000ホーネット/SPには何が足りないのか。筆者が強く感じるのは「これじゃなきゃダメ」という決定打が弱いという点。装備や性能はトップレベルでも、ライバルも似たようなスペックを持っていて、海外勢まで視野に入れると“唯一無二”を打ち出すのが難しくなっています。とくにリッターネイキッドのセグメントは激戦区。さらにユーザーがダウンサイジング志向になりつつある昨今、なかなか厳しい立ち位置と言えるでしょう。

まだ寒い時期…シーズンイン前の低調は仕方ない?
もちろん、真冬のこの時期はライディングシーズンから外れていて、売れ行きが落ちるのも自然といえば自然。早計に「不人気」と決めつけるのは時期尚早かもしれません。ただ、SNSの反応や在庫状況を見ていると、期待値に対して盛り上がりがいまひとつなのは確か。ホーク11が苦戦したように、CB1000ホーネットも価格設定やデザイン面でのインパクト不足などで、この先苦しい戦いを強いられる可能性が十分考えられます。
とはいえ、伝統ある“ホーネット”の名を背負う以上、ホンダとしても長く支持されるモデルに育てたいはず。これからの販売戦略やプロモーションが、どのようにユーザーの心をつかむかが注目ポイントになりそうです。
同時期にリリースされた「CB750ホーネット」とあわせて、CB1000ホーネット/SPが“あと一歩”の魅力をどうアピールしていくのか。リッターネイキッドファンとしても、今後の展開がどうなるのか注目しています。